瀬田駅前にある心臓病・生活習慣病のクリニック

循環器内科

狭心症・心筋梗塞

「狭心症」「心筋梗塞」とは?

心臓に酸素と栄養を送っている冠動脈という血管があります(図1)。
この冠動脈が動脈硬化(アテローム硬化)で狭くなったり、けいれん(スパズム)を起こすことで血液の流れが悪くなるのが狭心症です。

狭心症

図1(これは私の心臓CTの写真です。)

放置して血管が詰まってしまうと心筋梗塞になります(図2)。

狭心症

図2 インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

症状

狭心症は胸が締め付けられる痛み、圧迫感、動悸、息切れが特徴です。左の奥歯が痛くなったり、左腕がだるくなる方もいます。労作時、食事の後、朝起きたときに発作が起きやすく、痛みは5−20分程度続くことが多いです。
一方、心筋梗塞では焼きごてをあてられたような激しい胸の痛みが長時間続きます。冷や汗や動悸、息切れ、失神することもあります。

検査・治療

心電図、レントゲン、心エコーなどで心臓の状態を調べます。また、夜間と早朝に発作を起こしていることもあり、ホルター心電図(24時間記録できる携帯型の心電図)で調べることもあります。動脈硬化の原因となる糖尿病、脂質異常症がないか血液検査で調べます。
軽症であれば、禁煙やダイエットを含む生活習慣の改善を行い、冠動脈の動脈硬化を予防します。動脈硬化を予防する降圧薬、抗コレステロール薬や糖尿病の治療薬、血液をさらさらにする抗血小板薬、冠動脈を広げる薬、心臓の負担を軽減する薬をなど使います。重症の場合には連携病院に紹介し、心臓カテーテル治療や心臓バイパス手術を行います。
心筋梗塞は心電図で特徴的な形(ST上昇)になります。トロポニンというたんぱく質が上昇し、採血にて10分程度でわかります。
心臓の細胞は壊死するとほぼ再生しないため、治療は1分1秒を争います。心筋梗塞が疑われる場合はすぐに提携病院へ紹介します。

ワンポイント

心臓カテーテル専門医として、狭くなった冠動脈を風船やステントで広げる心臓カテーテル治療を多くの患者様に行ってきました。しかし、治療したところと違う血管が狭くなったり、治療したステント自体が狭くなってしまうこともあります。カテーテル治療も必要ですが、それ以上に動脈硬化を進行させないことが大切だと痛感しています。

不整脈

「不整脈」とは?

脈が異常に速くなる(頻脈)または異常に遅くなる(徐脈)、脈が不規則になる病気です。心臓は1日に約10万回規則正しく動いていますが、なんらかの原因で心臓の電気信号が乱れるために起こります。

不整脈

症状

ドキドキ動悸がする、脈が異常に遅くなる、脈が飛ぶほか、めまいやふらつき、息切れ、胸の痛みが起こることもあります。また、強い動悸の後にそのまま失神する場合も見られます。

検査・治療

まずは、心電図で心臓の電気信号を調べます。ホルター心電図、心臓エコー検査を行うこともあります。多くの不整脈は治療を必要としませんが、1分間に400〜600回心臓がぶるぶると震え、脈が速くなる「心房細動」のように危険な不整脈もあるため、正確な判断がとても重要です。

ワンポイント

不整脈といっても多くの種類があり、脈が飛ぶ期外収縮、リズムが不規則になる心房細動、突然脈が速くなる発作性上室性頻拍などがあります。経過観察で問題ないものから緊急を要するものまで幅広いです。心電図も不整脈が出ているときに取らないとわからないです。
そこで、自分の脈をとってみる(検脈)ことをお勧めします。手首のところに反対の手の指を3本並べて脈をとります(図)。脈が速いのか遅いのか?リズムが一定なのか乱れているのか?正常洞調律はリズムが一定で1分間脈を数えて60〜100回です。

不整脈

心臓弁膜症

「弁膜症」とは?

心臓には、血液の逆流を防ぐための弁がついています。加齢などが原因で、この弁の開きが悪くなったり(狭窄)、きちんと閉まらずに血液が逆流する(閉鎖不全)病気です。「心臓弁膜症」になる高齢者の方は年々増えており、国内では約200万人の方が「心臓弁膜症」とされ、年間17,000人が手術を受けています。

症状

息切れや動悸、めまい、胸痛が起こります。しかし、症状がじわじわと進行していくため、からだが慣れてしまい、自覚症状がない場合も多くあります。

検査・治療

まずは、聴診で、心臓に雑音がないか判断します。また、心電図や胸部レントゲンで心臓の状態を調べます。心臓エコー検査では、その場で、弁の動きや血液が逆流していないか、などが分かります。
治療は、軽症であれば、心臓の収縮力を高める薬や血管を拡張させる薬など、症状に合わせた薬を飲みます。その後も、弁の働きが悪化していないか、定期的に検査をすることが大切です。
また、重症の場合は、手術が必要になるため、提携先の病院へ紹介します。

ワンポイント

心臓には全部で4つの弁があります。その中でも大切なのが大動脈弁と僧帽弁です。図の左は僧帽弁狭窄症、右は僧帽弁逆流症になります。
最近では胸を開かないカテーテルによる治療も行われるようになってきました。特に大動脈弁狭窄症は突然死につながる病気です。高齢者では、侵襲の少ない足からカテーテルで大動脈弁を置換する手術(TAVI)が行われています。
連携病院である滋賀医大循環器内科は県内でTAVIの症例数の最も多い施設です。

心臓弁膜症

インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

心不全

「心不全」とは?

心不全とは単一の病気ではなく、心臓が血液を送り出すポンプとしての働きが低下している状態です。高血圧、心筋梗塞、狭心症、不整脈、弁膜症などが原因で、放置するとだんだん悪くなり、命を落とすことがある怖い病気です。

症状

心不全と聞くと緊急を要する印象を持たれると思いますが、軽い息切れ・足や顔のむくみが初発症状です。
心臓が血液を送り出すことができなくなると、血液中の水分がうっ滞してしまい、体全体にたまると足や顔の浮腫(むくみ)として現れ、肺にたまると息切れや呼吸苦(肺うっ血)として現れます。さらにひどくなると、ゼーゼー(ぜい鳴)と呼吸困難(肺水腫)に陥ることもあります。

心不全

検査・治療

聴診で、心臓や肺に雑音がないか判断します。胸部レントゲンで、肺にうっ血や胸水がないか、心臓が大きくなっていないかを調べます。また、血液検査で心臓に負担がかかったときに出るホルモン(BNP,NT-proBNP)などを調べます。
心臓エコー検査では、心臓の動きや心臓の壁の厚さ、弁の状態など心不全の原因がリアルタイムでわかります。原因となっている病気(心筋梗塞や弁膜症など)・心不全自体の治療のどちらも重要です。
心不全自体の治療としては、心臓を保護する薬や体内の余分な水分を出す薬(利尿剤)などを処方します。

ワンポイント

心不全の原因として一番多いのは心筋梗塞や弁膜症でなく、実は高血圧です。高血圧の初期は症状がないことが多いですが、放置すると心臓に負担がかかり、心肥大→心不全に陥ります。心不全で入院したことのある方の5年生存率は50%といわれています。これは大腸がんより予後が悪いです。がんと同様早期発見・早期治療が重要です。私自身、心不全の研究者としてよりよい治療を提供します。

心不全

Tsutsui, et al. Circ J 2007;71:449-454

静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)

「静脈血栓塞栓症」とは?

長距離の飛行機・車移動、骨折後のギプス、寝たきりなど、長時間同じ姿勢でいることで足の血流が悪くなると、血栓ができます(下肢深部静脈血栓症)。その血栓が、肺の動脈に飛ぶと肺動脈血栓塞栓症となります。
もともと血液が固まりやすい体質の方(ピル内服・がん・膠原病など)や脱水で生じやすくなります。

静脈血栓塞栓症

症状

 足に血栓ができると、出来た側の足のむくみや痛みが現れます(下肢深部静脈血栓症)。その血栓が肺に移動し肺の血流が低下すると、突然の呼吸苦や胸痛が現れ、失神して死に至ること(肺動脈血栓塞栓症;死亡率は13%)があります。

検査・治療

血栓のマーカー(Dダイマー;当院では院内で10分程度で判明します)の上昇、下肢静脈エコー検査での血栓の確認で診断します。治療は、血栓ができないようにする薬や血栓を溶かす薬で、血流を正常に戻します。重症の場合は、血栓を取り除く手術が必要になるため、提携病院へ紹介します。

ワンポイント

エコノミークラス症候群で知られている静脈血栓塞栓症はエコノミークラスに長時間乗った方に多いため命名されましたが、ビジネスやファーストクラスでも生じます(最近ではロングフライト症候群と呼ばれています)。
無理な姿勢での車中泊(震災の際に問題になりました)など、同じ姿勢(特に脚を曲げたり、圧迫されている状態)を続けることで血流がうっ滞するのが原因です。予防が重要で、同じ姿勢をせずに、定期的に足を動かす。足首を動かしてふくらはぎを伸び縮みさせて血流を保つことが大切です。

静脈血栓塞栓症

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